終の住処 |磯崎 憲一郎

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終の住処終の住処
磯崎 憲一郎
新潮社 刊
発売日 2009-07-24



作為的な魅力を買う 2010-01-11
一人の男の結婚から老年期へ差し掛かるまでの屈折した生きざまを、若干百ページ余りで語るこの小説は、驚くべきことではあるが、本来物語が持つべきリアリティを恣意的に放棄してしまっている。これは大変な博打なのだが、見事に成功しているところに、作者の人並み外れた才能が垣間見れる。
登場人物達には全員固有名詞すら与えられておらず、主人公の身辺では、作為的ともいえる、「妻の復讐」「不倫相手の出現」「米国への企業買収の為の派遣」といった、不条理的な問題が頻発する。こうしたものをみても、作者が端から説得力を持たせることを意図しない書き方をしていることは明明白白である。そして、それは言わずもがなだが、いわゆる魔術的現実主義に他ならない。
最後の、主人公の悄悄たる風情と、彼の「終の住処」の佇まいの幻惑的な融合には、作者の玄人の機知を否応なしに見せつけられた。題材はいたって凡庸ではあるが、非凡な手法によって、造作もなく玄妙な世界を構築することを彼は成し遂げたのだ。同工異曲な作品が多いなか、このようなスタイルの作家の登場は、真に歓待されるべきものであろう。


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