その日のまえに (文春文庫) |重松 清

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その日のまえに (文春文庫)その日のまえに (文春文庫)
重松 清
文藝春秋 刊
発売日 2008-09-03



癌が日常になった現在 2009-09-23
短編集で、「その日のまえに」という題名で、中に 「その日のまえに」・「その日」・「その日のあとに」というタイトルと、それ以外のタイトルが4つくらい並んでいて、「ああ、全然関係ない短編集が4つくらいと、連作的なものが3つあるのだなぁ」と思って読み始めたのだが、なんと関係ないと思っていた最初の短編が後から大きく関係してくるという大変面白い展開だった。



メインは奥さんが癌にかかり、余命1年とか半年と告知を受け、ご主人と男の子二人とでその死をどのように迎え、乗り越えていくか…という事がテーマになっているのだが、前半の短編でそのメインのテーマに出てくる登場実物の背景などが書かれている。



奥さんの看病を真摯にしてくれた看護婦さんは、中学時代に自分のクラスの子のお見舞いに鳩の絵を書いて「死んだら天国に行ってね」と書いたようだったというトラウマを持っている看護婦さんだったり、夫婦が新婚時代に最初に住んだアパートを見に行ったら、郵便受けの表札に二つの名字が書かれていて、それは前に出てくる同級生が家庭内暴力の反動で万引きして駆け落ちしているという二人だったり…、花火の仕事の依頼が主人公のご主人に来た相手が、前に出てきた癌を宣告された男の同級生だったり…と書いていて何を書いているのか全く分からないと思うが(笑)、とにかく人生というのは、やはり一人ではなく色々な関わりで生きているのだ…と思わせてくれる。



この本の中だけでも癌で死ぬ人が3人も描かれており、何かガンと言えば恐ろしい不治の病…というイメージから、普通に日常的に誰でもかかってしまう病気…という感じに変わってしまっているのが良くわかる。



先日読んだ「約束」も本当に日常を描いた良書だったが、これはその上を行っていると思う。しかも小癪なテクニックまで使って。


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